ヴォーカリストの私が声を失ってから復活するまで*その2

声が出なくなった

声を失った経験をお持ちの方へ!

私が、ヴォイスヒーリングの出会ったのは

この体験からです。

 

このお話には、第1話があります。

少々長いお話ですが、よかったらお付き合いください。

 

私は、精神的なストレスと、

喉にできてしまった謡人結節を乗り越えて、

再びステージに立つことができるようになったのですが、

レッスンがはじまると、

また落ち込み苦しんで声を失ってしまいました。

 

もう歌えないと思い、

声楽の先生のレッスンをやめ門下を去ることになります。

 

それから心が少し癒えたころ、

声を出して歌ってみたりしましたが、

いったいどんな声を出したらいいのか

さっぱりわからず、落ち込むばかりでした。

 

今ならよくわかるのですが、

落ち込んだり悲しんだり苦しんだりしたのは、

全部、私の問題なのでした。

 

 

歌えなくなったのは すべて自分の問題

 

それなのにあの頃は、

いろんなことが自分の問題だとはわからず、

問題はどうして起こったのかと、

自分以外のことに原因をさがすことで頭がいっぱいでした。

 

「どうして、この声じゃダメなの?」

(私の声を認めてほしい)

「どうやったら、先生に良いと言われる声がでるの?」

(正解を探す自分)

 

声のことや歌のことを学ぶまえに、

自分の内をみつめたり、

その時の自分のアンバランスを認めたり、

自分を整えたり、

自分を癒やしたりすることのほうが大事だってことには、

まったく気づいていませんでした。

 

歌は、その人自身だとよく言われますが、

本当にそうだなと今ならわかります。

 

 

歌うために 自分を癒やす?

自分を癒やすってどういうことなんでしょう?

 

それは、まず自分のことをわかって認めること。

ダメな自分や、

いつまでも悲しんでいる自分、

怒ってる自分、

どんな自分も「ああこれが私なんだ」ってわかること。

 

その自分を認めること、

どんな自分でもいいやん!って、

許すことができるようになること。

 

そして、悲しんだり、

苦しんだりした自分に、

悲しかったよね、苦しかったよね、

頭にきたよねって、声かけて自分で自分を抱きしめたりする。

 

自分のことをちゃんとわかって認めてあげる。

自分の本当の気持ちは、

自分にしかわからないから、

自分で自分を癒やすのです。

 

自分で自分を癒やす力が出ないときには、

信頼できるカウンセラーやヒーラーの

もとにいくのもおすすめです。

いつまでも、ダダをこねないで…ね。

 

 

長い間ダダをこねまくっていた私

 

よくスーパーで、お菓子買って〜と、

転げ回って大きな声で泣いて、

ダダこねてる子どもがいいますが、

私も同じでした・笑。

 

「先生の思うように歌えないから、

もうレッスンやめます。」

「先生の言われる世界と、

私の行きたい世界は違うと思います」

 

イヤイヤイヤイヤ、

そんなことはないと思うのです(今ならね!)

あのころの私を思い出すと、

顔から火がでそうになるくらい恥ずかしい。

 

そんなダダこね大人の私は、

ひょんなことから

スーパーヒーラーに出会うことになります。

そして、スーパーヒーラーは、

探さなくても向こうからやってきたのです!

 

ある日、クリスマス会で歌ってほしいと、

友人にたのまれました。

ダダこね大人の私は、

ここでもまだ、ダダをこねます。

「今は、もう歌えなくなった」とか

「きっとちゃんと歌えないと思う」とか…。

 

それでも、

もうプログラムに載ってるから来てね!と、

私のダダは、即却下され、通用しませんでした。

 

スーパーヒーラーのいるところ

友だちに押し切られ、

しぶしぶ、クリスマス会の会場に行きました。

少し練習しようと思ってやってみたけど、

うまく歌えなくて、落胆。

 

もういいや!なるようになる、

と思って会場に向かいました。

 

そこは、

障がいをもつ人たちの授産施設でした。

そして、私の歌が始まるのを待って、

ニコニコしている顔がたくさん。

いつも、大きなステージで歌っていた私には、

経験したことがないことばかりでした。

 

すぐ近くにいるお客さん。

そして、私の歌を待っている人たち。

歌い出す瞬間の、あたたかい静寂。

たくさんの笑顔。

 

歌がはじまると、

どんどん私の歌は吸い取られて、

彼らの心の中に入っていくのがわかるのです。

 

そして、サビのところでは、

声を上げて、手をたたいて喜ぶのです。

 

私はその日、

今までに体験したことがない体験をして、

たくさんのスーパーヒーラーに、

心から癒やされました。

 

それから私は、

いままで何のために歌っていたの?

という思いがずっと頭を離れなかった…。

 

 

何のために歌っていたのか

私のいた、音楽のしのぎの世界は、

それはそれは厳しい練習を重ねて、

初めて人前で歌えるようになる世界。

 

あたりまえですが。

それは、ある意味修行の世界で、

そして、

より高みを目指す素晴らしい世界でもありました。

 

それでも、客席にいれば、

恥ずかしいけど、誰かの歌を批評している自分がいた。

 

ステージで歌えば、

どれだけちゃんと歌えるかということを

目指している自分がいたのです。

 

あのころの自分は、

いったい何のために歌っていたんだろうと思います。

それも、全部自分が作り出した世界なのですが。

 

障がい者の授産施設では、

私の歌を聞いても、

だれも私の歌を批評などしない。

だだ聴く。

喜びとともに。

そして、音楽の中に一緒にいる。

 

なんて、すばらしい世界なんだと思いました。

彼らはジャッジせず、

素直に音楽を楽しんでいました。

 

今まで音楽を楽しめなかったのは私。

いい歌を歌おうと思っていたのも私。

 

そして何より、

自分の評価や認められることのために

歌っていたのも私。

 

それがわかったときは、

とてもショックでしたが、

そんな自分とは、この時キッパリお別れしました!

 

 

歌の世界は すばらしい世界

私は、クリスマス会の後、

何回も授産施設に歌いに行きました。

 

そして、そこでの歌の時間は、

私自身と私の歌を取り戻していく

時間でもありました。

 

ジャッジしない、無垢なる信頼とともに、

私を受け入れてくれる人と場所。

 

そして、純粋に喜び、

その喜びを素直に表現する人たちに、

どれだけ救われ癒やされたかわかりません。

 

自分でいること、

自分に還ることができた時間。

私が、いままでに経験したことがない、

本当に素晴らしい世界でした。

 

私は、自分の声、歌う歌、歌う世界のすべてを、

障がいを持つ人との出会いや、

彼らと同じ時間をすごすことで取り戻していきました。

 

そして、お互いに特別扱いしない。

私も、

彼らを心からの友だちだと思って接していました。

彼らももちろん、私のことを容赦しない。

 

来るのが遅いだの、

飲んだらすぐコップ片づけろだの、

いろいろ怒られるのです・笑。

 

こんなに楽しい時間を過ごせるのに、

私達はどうして、

いつから、

障がいを持った人たちとあまり出会えなくなったのでしょう。

 

それは、はやい時期から、

生活する場所を分けられてしまったから?

 

幼稚園や学校がちがったり、

クラスが違ったりします。

 

障がいをもつ子たちが、

より過ごしやすいようにという

配慮があってのことなのかもしれませんが、

もっと、みんなが一緒にいる時間が

増えたらいいのにと思います。

 

お互いのことを知ったり、

感じたりすることができたらいいのにと、

今もずっと思っています。

 

 

障がいがあるなし関係なく すべての人が一緒にいること

私の歌を、

そして自分自身を取り戻すことができた、

大きな出会い。

 

授産施設の人たちとの出会いで、

私はたくさんの大切なことに気づきました。

 

そして、彼らとの関りのなかで、

いろんなことを感じてきて、

今とても大事に思っていることがあります。

 

それは、私達が、

みんなで一緒にいる時間や場所をつくること。

 

障がいがあるとかないとか、

そんなことも関係なくて、

同じ場所にみんながいることを、

実現できたらと思います。

 

そうすれば、私たちはお互いのことを、

もっと知ったり感じたりできるはずです。

 

その出会いの場になればという気持ちで、

私は仲間と一緒に、バリアフリーコンサートを続けています。

 

演奏中に、うれしくなって声をあげたり、

飛び跳ねたりする子たちがいます。

 

障がいを持った子どもを連れて、

なかなかコンサートに行けないから、

子どもと一緒に聞けるコンサートがあったら

行ってみたいと言われる親御さんも来てくれます。

 

一緒にいることができる場所をつくることは、

とても大切。

そして、生の音や声に

触れていただけたらとても嬉しいです。

 

親御さんたちも、気兼ねなく会場にいて、

そして少しの時間でも、一息いついたり、

楽しんでほしいなあと思います。

 

私が、自分の声や歌を取り戻すのを、

手伝ってくれた人たちとの出会いに

心から感謝しています。

今の自分がいるのも、その出会いのおかげです。